事業売却や合併、買収といった組織の構造変化は、組織図やGHG(温室効果ガス)インベントリに大きな影響を及ぼします。運営体制が変更された場合、排出量の境界を新しい状況に合わせて更新する必要があります。
例:
売却:売却された事業の排出量は、売却日以降インベントリから除外されます。過去の排出量(基準年を含む)もこれらの事業を除外する形で再計算する必要があります。
合併や買収:新たに取得した事業体の排出量は、あたかも最初から自社の一部であったかのように、インベントリと基準年に含めなければなりません。
これらの更新により、時間を通じて報告の一貫性が保たれ、GHGプロトコルに従った意味のある比較が可能になります。
基準年や過去の排出量を再計算する必要はありますか?
構造的な変化に対して、基準年や過去の排出量を再計算する必要がある場合があります。GHGプロトコルでは、報告される排出量に大きな影響を与える構造変化があった場合、データの再計算を定めています。ただし、影響が小さいと見なされる変更に対しては再計算は必須ではありません。
一般的に使用される基準として5%の重要性閾値があります。構造変化が総排出量の5%未満に留まる場合、再計算を回避できます。この閾値により、精度と実用性のバランスが取られています。
再計算はどう対応すればいいですか?
再計算が必要な場合は、以下のステップを実行してください。
変更内容の文書化:構造変化の内容と、それが組織の境界に与える影響を明確に記録します。
過去のデータを修正:新しい構造を反映するために基準年と過去の排出量データを修正してます。
透明性を持って報告:再計算を報告書に開示し、必要性や実施方法を説明します。
例)新しい施設を取得し、その施設が基準年に8,000トンのCO₂を排出していた場合、その排出量を過去のデータに追加する必要があります。 このようにすることで、一貫性のあるデータが確保され、組織の変化があっても排出量インベントリが信頼性の高い意思決定基盤として機能します。